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 フラミンゴの羽根
2014.07.06(Sun)
100831雲04

2010/08/31 18:33 Higashiosaka,Osaka

しなければならない仕事もあるし、何かと忙しくできるはずだけれど、ぼんやりしていた。今日したことといえば、ドイル/小林司・東山あかね訳『四つのサイン』(河出文庫)を読んだことくらいか。

ホームズの活躍に初めて触れたのが『四つの署名』だった。当時小学3年生。
今でも大事に本棚のいいところに並べてある偕成社版シャーロック=ホームズ全集。祖父の家に行くたびに、近くの本屋へ一緒に出掛けて一冊ずつ買ってもらうのが嬉しかった。最初に第2巻『四つの署名』を選んだのは、第1巻『緋色の研究』がその日たまたま本屋になかったから。(『緋色の研究』はその次に読みました。)

おもしろいのがわかっていても、またおもしろがってしまう。
名犬トビーの活躍、テムズ河での追走劇。自分もホームズやワトスンと一緒になって手に汗握り、大笑いもする。友人が送ってくれたブレット版ホームズを見たおかげで、挿絵のホームズが以前にもまして生き生きと動き出す。

今回印象的だったのは朝焼けを見たホームズのことば。

「朝の空気は、なんとさわやかなのだろう! あの小さな雲は、巨大なフラミンゴのピンクの羽根みたいだ。ほら、太陽の赤いふちが、ロンドンをおおう雲の層の上に姿を現わそうとしている。この太陽は、ずいぶんたくさんの人を照らしているが、その中で、君やぼくほど奇妙な仕事をしている者はいないだろうね。自然の偉大な力の前では、つまらぬ野心にとらわれて、あくせくとしている人間の姿は、なんと小さな存在だろう!」(『四つのサイン』 p113)

他の訳ではどうなっているのか。
先の偕成社版(中上守訳)では次のようになっていた。

「なんて気持ちのいい朝だろう、空気がさわやかで! 見たまえ、あそこに、まるで巨大なフラミンゴのもも色の羽根みたいな、小さな雲が浮かんでいる。それからほら、ロンドンをおおっている雲の堤の上へ、太陽の赤いふちがせりあがってくるじゃないか。あの日の光はひじょうにたくさんの人びとを照らしているわけだが、しかしきみやぼくほどに奇妙な仕事をひきうけている人間は、ぜったいにいないはずだ。けちな野心をいだいているぼくたちは、自然の偉大な力のまえでは、なんと小さく感じられることだろう。」(『四つの署名』シャーロック=ホームズ全集2 p125)

新潮文庫の延原謙訳では以下のとおり。

「気持ちのいい朝だね。見たまえ、まるで巨大なフラミンゴのあかい羽毛のような雲が浮かんでいるじゃないか。雲のあついロンドンの空にも、赤い太陽が出ようとしているのだ。太陽は多くの人々を慈しむが、そのなかにも僕たちほど不思議な使命を帯びたものはないだろうねえ。ああ、人間てなんというちっぽけなものだろう。こうした小さな功名や競争意識で動いているなんて、自然の偉大なる威力にたいして、なんという情けなさだろう?」(『四つの署名』新潮文庫 p90)

そして原文。

“How sweet the morning air is! See how that one little cloud floats like a pink feather from some gigantic flamingo. Now the red rim of the sun pushes itself over the London cloud-bank. It shines on a good many folk, but on none, I dare bet, who are on a stranger errand than you and I. How small we feel with our petty ambitions and strivings in the presence of the great elemental forces of nature!” (Arthur Conan Doyle,Sign of the Four

はじめてホームズものの読み比べをしてみたけれど、訳者によって表現の違いは出るけれど、どれもホームズの雰囲気はいい感じ。文章の印象としては、河出文庫版が一番読みやすくスマートな感じか。でも、朝の空気にごきげんなホームズならもっと理屈っぽく多弁でもよいのかもしれない。(フラミンゴの羽根は、「あか」でも「ピンク」でもなく「もも色」であってほしいと思うのは、個人的な好み。)

全編通して読み比べるのは大変だけれど、気に入った場面や表現だけならまたできそう。原文まで辿ると余計に楽しい。
リルケ『マルテの手記』でも以前に読み比べをしたことがあるけれど、ドイツ語はもう忘れたので英語なら。




  
// 23:59 // 本の話 // Trackback(0) // Comment(0)
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